2015.08.4

【ご挨拶】ISHINOMAKI STAND UP WEEEK 2015を終えて

 今年の川開き祭りの両日はスカッとした晴天に恵まれ、とても暑い2日間でした。仙石線が全線再開した今年の川開き祭りはのべ22万人が集まり、この数字は昨年より5万人多かったようです。5回目を迎えた今年のSTAND UP WEEKもそれに比例するように、たいへん熱く濃密な9日間になりました。

 5年も続けていると継続して開催しているコンテンツにも新たな発見があります。「石巻ハッカソン」には、もはや当たり前のように、全国から第一線で活躍するITエンジニアやプランナーが集まってくるようになりました。「石巻夕凪ダイニング」は、即日完売するほどの人気コンテンツになり、石巻の食に対して新たな可能性を提示しています。すでに定着しつつあるコンテンツも沢山あります。「石巻一箱古本市」では昨年出会った店主たちとの再会を待ちわびていたお客さんがいたり、近隣の市町村から多くのひとたちが訪れ、楽しくまち歩きをしていました。今年から「夜空の岡田座」という名前でスタートし、5回目を迎える野外映画上映会もたくさんの子どもたちが心待ちにしていました。そして2014年のSTAND UP WEEKで生まれたパーティ集団「寿ダンスホール」は「夕やけディスコティック」という最高のパーティを開催しました。川開き祭り当日の「PLAY ON THE STREET」では、スケーターやけん玉プレイヤーがプロの技を披露し、ダンスやフットサルが開催されました。

 今年のSTAND UP WEEKでは石巻から生まれつつある新しい観光にも取り組みました。TRITON PROJECTと連動した「TRITON CAMP」では漁師の未来像を参加者とともに考え、牡鹿半島を舞台に新しい観光を提案するおしかリンクの企画では、参加者と牡鹿半島への旅をデザインしました。仕事旅行社とコラボレーションした「石巻しごと体験」では、新しい価値を生む仕事を体験でき参加者たちも満足そうでした。他にもここでは紹介しきれないほどの、様々な可能性をもった未来づくりのプログラムが開催された9日間でした。

 運営事務局を担うISHINOMAKI2.0のメンバーも大きく変化しています。
全国各地から集まった多種多様な職能の専門家たちに加えて、石巻出身の若者が手を挙げて参加してくれるようになり、まちを変えたい、自分たちがやるんだという気概のもと突き進んできました。

 「祭りがまちを鍛える」とは、とある建築の専門家が言っていた言葉ですが、私もことあるごとにこの言葉を反芻しています。
震災後に数々の試みがここ石巻では開催されています。ツール・ド・東北や数々のロック・フェスティバルなど、多くの人が石巻を訪れる機会を提供するだけではなく、イベントを通じて行政を動かし、制度や規制を変えていく。そして人の心を動かしまちに人を惹き付けることが起きています。その根底にあるのは、祭り自体がまちを変えるのではなく、祭りをつくりたいと思う人たちが集まり、実際にまちを変えていくのだと思います。

それを一番感じたのが、今年の「みんなの七夕」でした。戦後70年以上の歴史をもつ川開きでの七夕飾りも、2011年より中断していました。
それを再スタートさせると表明したとき、その大変さを身に染みて分かっている地元の商店主たちからの反響が何よりも大きく、
そして誰よりも今年の七夕の再スタートに協力してくれました。そこに平塚の人たち、遠くからずっと石巻を応援してくれている個人や企業、アーティストやたくさんのまちの人たちを巻き込んで作り上げたのが今年の「みんなの七夕」です。5年目にして、ようやく伝統ある川開き祭りの原風景に対してSTAND UP WEEKが一歩踏み出せたのが今年でした。人を魅了し、祭りに加わりたいという思いが伝播し、次世代が育つことが祭りの本質なのではないかと思います。力強い一歩を踏み出し、まちの未来に対して可能性を提示することがSTAND UP WEEKの目的です。それはこれからも続けていきたいと考えています。

 さてみなさんお気づきかも知れません。それは、もうとっくに石巻の人たちは「STAND UP」しているのではないかということ。実はSTAND UP WEEKは2011年に石巻の人たちが川開き祭りを実施することを決めたところに端を発しています。自粛という言葉がひとり歩きするなか、それでも川開き祭りの開催を決めたことには、さまざまな想いがあったと思います。その気概に呼応するかのように始まったのがSTAND UP WEEK。まちの未来を誰もが語り、カタチにできるまちづくり週間です。でも実は2011年の川開き祭りの開催を決めたその時から、石巻の人たちはすでに立ち上がっていたのかもしれません。

来年は新たなステージへと、一緒に漕ぎ出しましょう。ご協力いただいた方々、そしてご参加いただいた方々に感謝申し上げます。また来年みなさんとお会いできることを楽しみにしています。

ISHINOMAKI STAND UP WEEK 2015 実行委員会
勝 邦義

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